「ポジションと決済」は、FXの基本の「き」

FXを始めて、FXの攻略法やらFXのブログやらをながめてみると
- 「ポジションが・・・」
- 「エントリーポイントが・・・」
- 「ショートで入ったのに・・・」
- 「ロングは弱い・・・」
- 「利確決済だ、損切決済だ」
このような言葉ばかり書いてあって覚えることが多い!と思ってしまい、FXは面倒だと感じている人も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、実際のところFXはで行う取引の流れを一度きちんと理解すれば、何も難しいことはありません。
FXにおける取引とは「ポジションを持って決済すること」に尽きます。
今回はFX取引の流れや、取引における基本的な用語やについて詳しく説明していきます。
FXで儲ける仕組みとは? 取引の意味
FX取引では、実際にどのようにすれば利益が出るのか?イメージできないという方も多くいらっしゃいます。
簡単に言うと、FXで利益を出すということは「少しでも安く買って少しでも高く売ること」につきます。例えば、1万円で買ったお宝を2万円で買いたい!という人に売れば1万円の儲けになりますね。
FXも基本的にはこれと同じ原理です。
ここからは取引の具体的な流れや方法、ポジションや決済について見ていきましょう。
FXの取引で利益の出る仕組み
例えば、1ドル100円のとき10万円分のドルを買ったとします(ドルに両替)。この場合10万円で1000ドルが買えることになるので
・10万円 ⇒ 1000ドル
になります。
この1000ドル分を持っている間に、ドルが値上がりし1ドル120円になったとします。このとき、保有していた1000ドルを売ります(円に両替)。
そうすると、もともと10万円だったお金は1000ドル×120円で
・1000ドル ⇒ 12万円
となり2万円も増えました。
これがFXの取引で利益の出る基本的な仕組みです。
FXでいう取引とは?
先ほどの例でいうと、FXで利益を得るまでには3つの段階があります。
- 【ステップ1】日本円で米ドルを買う
- 【ステップ2】米ドルを持っている期間
- 【ステップ3】円を買うためドルを売る
というものでした。これをFX用語でいうとどうなるのか、下記にまとめてみました。
取引の流れ | FXでいうと・・・ | |
---|---|---|
日本円で米ドルを買う | ポジションを持つ | エントリーする |
米ドルを持っている期間 | ポジション保有 | |
円を買うためドルを売る | ポジションを決済する | エグジットする |
- ポジションを持つ = エントリーする
- ポジション保有
- ポジションを決済する = エグジット
これらの用語は、覚えておくと便利な用語ではありますが、ネットや書籍において書き手の表現方法によって使い分けられることがあります。混在しないように覚えてしまうとよいでしょう。
ポジションとは?決済するまでがFXの取引
ではここからは各用語を掘り下げて見ていきます。
ポジション
最初はFX取引において新規注文が成立し実際に金額が上下する状態である「ポジション」についてです。ポジションとは、買いもしくは売りが成立し保有している「決済前の状態」を意味します。
エントリーする = ポジションを持つ
取引開始の流れとして、最初にまず買いや売りといった注文「エントリー」を行います。
エントリーするとポジション(買い or 売り)を持っている状態となります。
買いだけでなく売りの状態でも「ポジションを持つ」ことになりますので、このあたりが用語的に混乱しやすい部分です。
ちなみに、買いの状態を「買いポジション」、売りの状態を「売りポジション」と言いますので覚えておきましょう。
買いでは自分の持ったポジションよりチャートが上方向に動けば儲けがでますし、売りでは自分の持ったポジションよりチャートが下方向に動けば儲けがでます。

ポジションは決済しなければ利益や損失は確定しませんが、実際の取引画面ではその時点で決済した場合の評価額が表示されます。
含み益と含み損
ポジションを持った後に為替レートの値動きによって損失または利益が出ることになりますが、これが確定するのは決済したときです。
例えば1ドル100円のときに買いポジションを持ち、101円に値上がりしたらこの差1円分の利益が出ることになります。しかし、決済せずに1ドルがそのまま99円になってしまうまでポジションを持ち続けると、今度は1円分の損失になってしまいます。しかしこれも決済しなければ損にはなりません。
このように、ポジションを持っているとき状態で、今決済した場合に
- 利益が〇〇円出るという見込みの額のことを : 含み益
- 損失が〇〇円出るという見込みの額のことを : 含み損
と言います。
前述のようにポジションは決済しなければ確定しないため、含み益・含み損はあくまでその時の時点での損益の目安ということになります。為替相場はその都度変化していくため、ポジションにおける含み益や含み損は常に上下していきます。
FXではこうした一時の損益の上下に左右されることなく、最終的に目標値でポジションを決済すること利益を出すためには必要となります。
ロング = 買い
先ほども触れましたが、ポジションにおいて買いでエントリーすることを「買いポジション」または「ロングポジション」といいます。「外貨を買う」とイメージするとわかりやすく、FXでは例で挙げたドル以外にも、世界各国の通貨を売買することできます。
ロング(買い)の場合は、エントリーしたタイミングより価格が上昇したタイミングでポジション決済すれば利益となります。価格が下落した状態でポジションを決済すれば損失が確定します。
ロングの特徴として、景気が上向きだと外貨が上昇する傾向がありロングポジションが有利になる場合が多いことがあります。景気がよくなると、お金で保有してくより高金利である外貨を保有したほうが運用利益を上げられるためです。
また為替価格上昇時の特徴として、チャートの動きが緩やかに上昇することが多いのが特徴です。
エントリーと決済(利確)のタイミング
ロング(買い)でエントリーするタイミングとしては、緩やかな上昇の中で少し価格が下落した時が狙い目と言われています。
その理由として、相場は常に上昇を続けるわけではなく、価格上下を繰り返しながら少しずつ値を上げていくことから、時折価格が下がったタイミングでロングエントリーすることで、有利にロングポジションを持つことができるからです。
利確ポイントとしては、上昇が一段落したところがポジション決済のタイミング。しっかりと相場が伸び切るのを待ってからポジションを決済することが効果的です。
ショート = 売り(空売り)
次にFX初心者の方にとってなかなか理解しにくい「ショート」について説明していきましょう。
ショートとはロングの反対で「売り」でエントリーすることを指します。この状態のことを「売りポジション」または「ショートポジション」と言います。
ショート = 空売り
外貨預金の場合初めから売りという概念はなく、あくまで外貨を買った後にその外貨を売ることになります。
これがFXの場合、初めから持っていない外貨を「売る」ということが可能でありこれを「空売り」と言います。
ショートでは売りポジションを保有後、相場が下がった状態で決済すれば利益、逆に上がった状態でポジションを決済すると損失となります。
このように下落相場でも利益を出せるため外貨預金よりもチャンスが広がります。
ショート取引の例
では、米ドル/円の、ショートによるエントリーの例を見てみましょう。
1)売りポジションの保有
米ドル円を為替レート1ドル=100円の際、10万円分の米ドル(1000ドル)を「売り」のショートでエントリーします。
1000ドル ⇒ 10万円に。(このとき1000ドルは手元に保有していないので、借りている状態)
2)ショート(売りポジション)保有中
米ドル円が下落し1ドル=90円に。
3)売りポジションの決済
1ドル=90円の時、10万円なら1111ドルを買い戻して決済します。
このとき得た1111ドルの中から借りていた1000ドルを返却すると手元には111ドルが残りますが、1ドル=90円なので、111ドルはおよそ1万円。
「先に借りて売り、相場が下がったら買い戻して借り分を元を返し、利益をもらう」。多少ややこしく聞こえますが、「買い」で行うことと操作自体は何も変わりません。
つまり「ショートエントリー」の場合、為替レートが下がれば利益、上昇してしまうと損失になります。値動きによる利益と損失が単純にロング(買い)と反対になるということだけ覚えていればOKです。
下落相場の特徴
下落相場の場合、ゆるやかな兆しを見せる上昇相場とは異なり、非常に速いスピードで為替レートが下落することが多々あります。
下落相場は「弱気相場」とも言われ、経済不安や情勢が悪化することに反応し、運用している外貨をすぐ手放す人が多くなります。そうした売りが集中すれば、相場は急降下することになるため、こうした相場でのポジションや決済タイミングには注意が必要です。
ではショートの場合、どういったエントリーや決済ポイントが有効なのでしょうか?
エントリーのチャンス
相場が下落しやすい状況として「株価の下落」「世界情勢の不安」などが挙げられます。世界情勢の不安とは、例えばテロ事件や国家不安などが起こった場合です。
為替相場は株価とある程度連動しており、株価下落=景気後退=弱気相場で下落という動きをしやすい傾向があります。そういった状況が確認できる時にはショートエントリーのチャンスとなり、積極的にポジションをとれます。
とはいえ、エントリーのタイミングが難しいという方は、チャートが下がり始めたらその流れに乗って自分もショート(売り)をしてしまうと良いでしょう。
決済のタイミングについて
ショートエントリーでは決済タイミングも重要になります。
下落相場は急降下することがありますが、戻すスピードも非常に速いことがあります。そうした場合に決済タイミングが遅れると、相場の急上昇で思わぬ損失を被る可能性もあります。
ただし、基本的には下降が止まった後は緩やかに上昇が起こるので、その時に決済し利確すると良いでしょう。
エグジット = 利確と損切

ロングやショートなどのポジションについて把握してきたところで、最後は「決済」についての説明にはいります。
決済とは「保有しているポジションを手放すこと」であり、ポジションを持っていれば必ず行うことになるものです。決済は「エグジット」とも呼ばれ、利益もしくは損失を確定させる行為になるため、非常に重要かつ難しいものです。
このポジション決済ですが
- 含み益を確定させる利益確定=利確
- 含み損を確定させる損を切る=損切
の2つがあります。
利確
利益が出ている状態での決済「利確」ですが、こちらは利益が出ている状態であればいつポジションを決済しても問題はありません。
ただしFX初心者の方がやってしまいがちな決済として、相場が伸びきる手前で決済し大きな利益を逃すことが往々にしてあります。これは人間心理として、利益が出てくるとどうしても損をしたくないという気持ちが働いてすぐに決済したくなるためです。
ですから、トレンドの波に乗ってポジションを持っている場合、トレンドがしっかりと転換サインを出すまでは決済せず我慢が必要です。
利確の際は最大限利益が出た状態をしっかりと見極めてからポジションを決済するよう心がけましょう。
損切
含み損による損失状態での決済「損切」についてですが、損切という行為は損失を確定させる決済であるためとても勇気がいります。
初心者の方の多くは損失確定を恐れ、損切決済を先延ばしにしてしまいがちです。
このポジションにおいて決済を先伸ばししている状態を「塩漬け」と言い、FXでは非常に危険な状況でやってはいけないことです。塩漬けポジションになるということは、既に相場予想は間違っており更に損失を拡大させてしまう可能性が高くなります。
こうした状況では一刻も早くポジションを決済し、次の取引に進むべきです。その後市場が回復し、レートが戻る可能性があるかもしれませんがいつになるかわかりませんし、その間の時間が無駄になってしまいます。
そのような状態にならないためにも、エントリーする際はポジションに対する利確と損切の決済ポイントをあらかじめ決めておきましょう。