投資の考え方

投資とギャンブルは同じ?類似点と相違点

投資とギャンブルの違い

「投資はギャンブル」?意外と知らない違い

投資とギャンブルの違い

 

「投資ってなんだか怖い」って思ってませんか?

「仕組みが複雑で難しそう」「リスクが大きそう」「お金に余裕がある人がやるもの」など、悪いイメージのせいで投資を敬遠しがちな人は多くいます。
そんな数ある負のイメージの中でも、特にいろんな人が抱いているのが「投資はギャンブルと同じ」という考えです。
実際、野村総合研究所の調査で、日本人の4人に1人は「投資はギャンブルだと思っている」という結果が出ています。

 

確かに、投資はギャンブル的要素がないとは言えません。
しかし、完全にギャンブルというわけではないのです。
このページでは、投資とギャンブルを比べてみようと思います。

 

投資と投機

 

ギャンブルと投資を比べる前に、まず少しだけ投資についてのお話をします。

 

投資と言えば株、FX、不動産、投資信託、バイナリーオプションなどなど、沢山の金融商品が思い浮かぶかと思います。
でも、そもそも金融商品を買うという行為がすべて「投資」だと思っていませんか?

 

違うんです。

 

同じ金融商品を買うにしても、取引の仕方や目的などで「投資」と「投機」に定義することができます。

 

資本に投じる「投資」

 

投資は文字通り「資本」にお金を投じることを意味します。

何かしら、これから成長しそうなものや新しく何かを生み出しそうな手段に対してお金を払い、そこから生み出された利益を受け取ることが投資です。

 

たとえば株式投資では、その企業の成長や事業拡大を見越して株式を購入し、企業側は出資してもらったお金をもとに事業を行っていく。その利益を配当金や株主優待として投資家(株主)に還元する。

 

これが、投資の流れです。

 

投資は、払ったお金以上に経済成長などの「付加価値」がつき、最終的に参加者全員が得することができることが特徴です。

機会に投じる「投機」

 

投機は、資本にお金を投じる投資に対し、「機会」にお金を投じます

この「機会」とは、簡単に言えば短期的な値動きのことです。

株のデイトレードや為替取引などは、その値動きによる差額から利益を得ようとする「投機」に当たります。
為替にお金を投じても付加価値は生まれないので、fxでは短期でも長期でも「投機」となります。

 

「投資」はあるものが成長することによって生まれる「付加価値」が主な利益となり、「投機」はそのもの自体の「価値」が利益のもとになると考えるとわかりやすいでしょう。

 

マンションの例を挙げて考えると、
マンションを持つことで得られる家賃収入が目的の場合、それは「投資」
不動産価格が変わってマンションの値段が上がった時に売って利益を得るのが目的なら「投機」
といえます。

 

実は類似点もある?

「投資はギャンブルとは違う!」と全否定する人も多いですが、世間一般で言われる「投資」とギャンブルは、全く違うものとは言い切れません。

完全に異なるものだったら、「投資はギャンブルでは?」なんて疑う人が生まれるわけがありません。

同じところ、似ているところがあるからこそ、投資=ギャンブルと考える人が一定数いるのです。

同じだと思われる理由

では、「投資」がギャンブルだと思われてしまう理由はどこにあるのでしょうか?

前の章で、世間一般に言われる「投資」は投資と投機に分けられる、と話しました。

「投資」がギャンブルだと思われるゆえんは、主に「投機」にあるといえます。

皆さんは、ギャンブルってどんなものだと思っていますか?

パチンコ、競馬、カジノ、宝くじなど…世の中には沢山のギャンブルがあふれかえっています。

ギャンブルとは、勝負ごとにお金をかけて、勝った人が一定割合の配分を受け取るものです。

先ほど挙げたギャンブルの例の共通点は、お金を賭けることはもちろん、「一回の勝負が短時間(短期間)で終わる」こともあげられます。

この短時間での勝負が、FXや株式のデイトレードなど、投機の特徴である短期間での取引と重なる部分があります。

また、FXでは特に、レバレッジと言って、担保を用意することで自分の用意した金額よりも多額の取引を行うことができます。レバレッジをかけすぎると、一度に大損をする可能性のあるハイリスク・ハイリターンの取引となります。

このように、短期間で取引をし、大損をすることもある、という点を見て、投資(投機)はギャンブルだと考える人が多いのです。

やり方次第では全部ギャンブル

 

ギャンブルの悪いイメージというと、大損をしたり、ギャンブル依存症になったり、というものがあります。

 

それは、投資や投機でも同じことです。

特に投機では、自分の取り引きしたものの微妙な値動きを気にしてチャートから離れられないという依存性もあります。大損をするというのは、前に言ったとおりです。

もちろん投資でも、株を長期保有しようとしていた企業が倒産してしまえば損をします。

よく、投資や投機は過去のチャートを分析して、自分の勝てるタイミングで取引をする、といったように、頭を使うからギャンブルではない!という意見を見かけます。

しかし、ギャンブルもまったくの運試しではありません。ポーカーの世界大会があるように、確実に利益をあげている本物のギャンブラーは、複雑な確率論を理解し、しっかりとした計算のもとでギャンブルをしています。

 

頭を使うからギャンブルではない、という考え方は間違っています。

ギャンブルでも投資でも、絶対に勝てる方法や戦術はありません。必ず負けるリスクを伴います。

投資も投機も、感情に流されてゲーム感覚でやってしまえば、ギャンブルになりうるのです。

ギャンブルとの違いとは?

 

投資・投機とギャンブルは完全に区別できるものではないと書きました。
しかし、だからといって一緒にするものでもありません。

 

次は、投資と投機、ギャンブルの違いを比較していこうと思います。

 

誰が得して誰が損するか

 

投資、投機、ギャンブルの大きな違いは、その行為によって誰が利益を得るかという点にあります。
簡単にまとめると、

  • 投資はプラス・サムゲーム

 

  • 投機はゼロ・サムゲーム

 

  • ギャンブルはマイナス・サムゲーム

 

    と言えます。

 

突然カタカナが出てきてもわけがわからないと思うので、この言葉の意味を説明していきます。

 

投資は「プラス・サムゲーム」

最初に投資と投機について書いたとき、投資はお金を投じた資本の成長を見越し、そこから生まれる付加価値を求めるものと言いました。

 

株式で言えば、
株を買うことで企業に投資し、企業はそのお金を使って事業を拡大し、投資家に還元をする。
企業側としては、自社が成長する。
投資家側としては、配当金や株主優待を受け取ることができる。
これに加え、社会全体で、経済成長なども見込めます。

 

このように、投資を行うことで、企業、投資家に加えて社会も利益を受け取れます。

 

投資は、長期的ではありますが、参加者全員が利益を得られる、いわば「プラス・サムゲーム」なのです。

 

投機は「ゼロ・サムゲーム」

一方で投機は、株式や為替が持つ価値そのものが利益を得る指標となります。

 

誰かが売って誰かが買う、その瞬間に売っている人がいれば買っている人もいる。
相場は常に変化しているので、常に誰かが得をし、一方で損をしています。

 

投機は、誰かが得をすれば、誰かが損をするという「ゼロ・サムゲーム」といえます。

 

ギャンブルは「マイナス・サムゲーム」

ギャンブルでは、投資・投機と違い、その賭けの主催者が徴収する運営料(てら銭)が存在します。

 

もちろん株やFXを行う上で、業者に払う手数料は存在しますが、それとはまた別物です。

 

ギャンブルでは、参加者の賭けたお金のうち一定比率の額を主催者が運営料として受け取り、残った額を参加者で取り合うのです。

 

この運営料は一番低くてもパチンコ・スロットの約10%。
競馬では、胴元であるJRAに馬券売り上げの25%が一時的に入ります。
また、大半が地方公共団体への寄付に回されるとはいえ、宝くじは48%が運営組織へのてら銭となります。

 

このように、参加者が賭けた総額より少ないお金を分け合うことになるのがギャンブルです。
ギャンブルを行って得をするのは主催者だけなのです。
そのため、ギャンブルは参加者全員が損をするマイナス・サムゲーム」と言えます。

 

得るものは同じでも目的が違う

 

投資もギャンブルも、最終的にどちらも「利益を得たい」と考えて行う点は共通しています。

 

違うのは、その行為の中で「利益を得る」という目的がどれくらいを占めているかです。
投資や投機は、100%が利益目的でしょう。
取引を行っている人の中には、それだけで生計を立てている人が沢山います。

 

一方で、プロギャンブラーなどほんの一部を除いて、ギャンブルを行う人の心の中には賭け事を「楽しむ」という心情があります。

 

ギャンブルは、投資や投機と違って娯楽要素が強いのです。

 

このように、投資・投機は利益だけを求め、ギャンブルは楽しむことも目的としている点でも違います。

 

 

まとめ - 違うところも同じところもある

 

    • 「投資」と「投機」は別もの。投資がギャンブルだと思われがちなのは、「投機」の短期取引やレバレッジから、ハイリスク・ハイリターンなものばかりだという印象を受けるから。

 

    • 投資も投機もギャンブルも、やり方次第では全部「ギャンブル」になってしまう。

 

    • 投資は「プラス・サム」、投機は「ゼロ・サム」、ギャンブルは「マイナス・サム」

 

    • ギャンブルは娯楽要素が強いため、投資や投機と一緒にすることはできない。