7本の線からなるFXの指標・ピボット
FXについて調べたり実際にFXトレードをしたりしていれば、「ピボット」という単語を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
ピボットは、株やFXで使えるテクニカル指標のひとつ。特に欧米などの大口トレーダーに人気です。日本ではあまり知られていませんが、海外ではよく知られた有名なインジケーターのため、世界中で多くの人が見ている分、かなり相場に有効です。
今回は、ピボットについての基本からトレードでの使い方まで解説していきます。
ピボットはなぜ勝てる?
まずは、ピボットとは何か?について説明します。
ピボット(Pivot)は、FXでも人気のATRやRSIを生み出したJ.W.ワイルダー氏が生み出したインジケーター。日本では知らない人も多いのですが、欧米をはじめとする海外のトレーダーの間ではよく使われています。
このピボット分析、市場が強いか弱いかを測るテクニカル分析の基本指標として、投資家や銀行をはじめとした金融機関に信頼されているものと言われています。
特に機関投資家などの大口FXトレーダーが使っていると言われており、ニューヨーク時間やロンドン時間には有効性が増すという特徴があります。
基本的な使い方
言葉で説明していてもわかりにくいでしょうし、まずは実際にピボットをFXのチャートに表示させてみましょう。
上の図はMT4で15分足チャートにピボットを表示させたものです。
全部で7本の線が見えますね。
一番真ん中のオレンジ色の線がピボットライン、それより上の線が下側から順にR1,R2,R3、ピボットラインより下の線が、上側から順にS1,S2,S3です。
真ん中にあるピボットラインは、相場における売り買いどちらの圧力が強いかの判断基準となるラインです。
それを挟むように3本ずつあるラインで使われているRやSというのは、レジスタンスとサポートをそれぞれ表しています。上値抵抗線や下値支持線と言われているあの線の意味です。しかし便宜上、ピボットでは上がレジスタンス、下がサポート、という呼び方をしていますが、もちろんFXでは値動きは上下するものなので、この2つの線は相場によって役割が変わっていきます。
さてこのピボットですが、よく見るとある一定の期間でそれぞれの線の位置が変わっています。これは、ピボットが前日の高値・安値・終値を基準に算出されているからです。その結果1日が終わると、ピボットはその日の高値・安値・終値を基準に新たな線を作ります。そのため、カクカクとした線がFXのチャート上に表示されるのです。
ピボットの計算方法
それでは次にピボットの計算方法についてみていきましょう。
FXのチャート上でピボットを見る分には計算する必要はないので、数式は苦手!という人は読み飛ばしてもらっても構いません。
先ほども少し触れましたが、ピボットは前日の高値・安値・終値から計算できます。
それぞれの式は、次のように計算します。
ピボット(P)
- P=(高値+安値+終値)÷3
R1,R2,R3
- R1=P×2+安値
- R2=P+(高値-安値)
- R3=R1+(高値-安値)
S1,S2,S3
- S1=P×2-高値
- S2=P-(高値-安値)
- S3=S1-(高値-安値)
S3は「ロー・ブレイクアウト・ポイント(LBOP)」、R3は「ハイ・ブレイクアウト・ポイント(HBOP)」呼ばれることもあります。
これらは、前日のピボットが機能しなくなる限界点と考えられています。
なぜピボットは有効なのか?
FXで使われるテクニカル分析には、移動平均線やボリンジャーバンド、MACDなど様々なものがあります。しかしこれらは、期間などパラメータの設定次第で表示のされ方が変わってきます。また、トレンドラインやフィボナッチなどは、どこからどこまで引くか?という点で、個人差が生まれます。
しかし、ピボットはこのような個人の裁量に委ねられる部分が一切なく、表示している全員が同じ線を見る全世界共通の指標なのです。そのため、ピボットを使っているFXトレーダーの数=同じ指標を参考にしている人の数となるので、それだけ有効性が増すのです。
実際にFXのチャート上に表示させるとわかりますが、ピボットはシンプルでとてもわかりやすいですよね。多くのFXトレーダーが使っている!と人気が人気を呼ぶところもありますが、この客観性も魅力の一つです。
FXでのおすすめ戦略
それでは、実際にピボットをFXトレードに役立ててみる際、どのように活用したらよいかを見ていきます。
まずピボットには、ピボットラインを中心として上下3本ずつの線がありますが、チャートはこの線で反応・反転することが多くなります。
R1~3,S1~3の6本のうち、内側にある線ほどラインとしての機能が弱く、ブレイクされやすくなっています。つまり、R3やS3にたどり着きブレイクするような相場は、上昇・下落の圧力が強いことの表れです。
おすすめ!逆張りFXトレード手法
ピボットは、FXトレーダーが避けがちなレンジ相場でもトレードができることが特徴です。ここではレンジ相場で有効な逆張りトレードについて見ていきましょう。
ピボットでする逆張りトレードの方法は、以下の通りです。
買いの場合
- S1まで下落したら押し目買い
- R1まで上昇で利益確定
- S2まで下落で損切or買い増し
- S3まで下落で損切orもしくはトレンドに乗って売り
売りの場合
- R1まで上昇したら戻り売り
- S1まで下落したら利益確定
- R2まで上昇で損切or売り増し
- R3まで上昇で損切orトレンドに乗って買い
この時、以下の点に注意しましょう。
- ピボットのラインにひきつけること
- ピボットのラインでローソク足の反転シグナルやダイバージェンスのシグナルがでること
- 強いトレンドには逆らわないこと
FXで逆張りをするときは、これらのことを意識してトレードを行うことが重要となってきます。
ピボットを使ってFXの相場を見極める
またこれは具体的なトレード手法ではありませんが、ピボットをトレンド方向の見極めのために使うこともできます。
たとえば、ピボットラインを基準としてローソク足が上にあるか下にあるか。
上にあれば、少なくとも前日よりは、上昇圧力が大きいと考えられますね。
また、ピボットラインから上下3本ずつの線が離れていれば離れているほど、その相場の動きは強くなります。
もし、強い相場でR3やS3をブレイクアウトしたらどうでしょう?一度ブレイクしても、意識されているラインである以上戻ってくる可能性は否めません。そこでは慌てずに、その後の値動きを見守るのが吉でしょう。
もしピボットを抜けてそのままトレンドに乗るようであれば、相場はかなり強気と思われるため、買いを中心にトレードを行いましょう。
ただし、ここで1点注意が必要です。ピボットは「前日の相場と比べて」FXのチャートを見ることになります。そのためラインが有効なのは当日限りであることを念頭に置いておきましょう。
また短期のトレンドには向いていますが長期的なトレンドには向いていません。長期トレンドを見る場合には他のインジケーターを使ってしっかりと見極めましょう。
まとめ~完璧でも特別でもない!~
以上、ピボットを用いたFXのトレードについてまとめてみました。
ピボットは、シンプルな一方でかなり汎用性が高い指標ではありますが、注意すべきことは、ピボットはあくまで「指標」のひとつ。多くのFXトレーダーが見ているから、FXの相場に有効だから、と特別視して完全に信じてはいけません。
自分のFXトレードの経験やほかのインジケーターなども参考にしながら、FXの取引に役立てることが重要です。
また、今回紹介した手法以外にも一般的なレジサポライントレードなどを応用することもできますので、ピポットをさらに極めたいという方は書籍や参考サイトをベースに学習することをおススメします。