クロスオーダーを使って儲かる手法とは?

「両建て」と言われて、何のことかわかりますか?
FXでの両建てとは、「買いと売りのポジションを同時に持つこと」を意味します。
一般的に、両建ては「含み損が増えない」「損切りを必要としない」といった、FXトレーダーたちが願ってやまない状態を作ってくれると言われています。
しかし、本当にFXでそんな甘い状況があるわけではありません。
特にFX初心者は、両建てを使うと一度に損が膨らむ危険性があります。
この記事では、FXで両建てをするメリット・デメリットや注意点、活用法などをご紹介していきます。
両建てをする意味とは?

まずは、両建ての仕組みや、FXで両建てを行うメリット・デメリットについて見ていきましょう。
前述しましたが、両建ては「ある1つの通貨ペアに対して、売りと買いの両方のポジションを持つトレード」を指します。
英語ではcross order, matched orderと言われています。
FXで両建てをする仕組みは?
なぜ、FXトレーダーは両建てをしようとするのでしょうか?
両建ては、含み損を抱える可能性も大いにあります。
例えば、下の図で、1ドル=100円で1万ドル買ったとします。

買うと同時に1ドル=100円で1万ドルの売りポジションをとれば、この両建てFXでの損益は0です。
しかし、もし売るまでに少し時間が空いて、1ドル=99円で売って両建てをしたらどうなるでしょう?
両建てが成立して以降の損益は0円ですが、成立した時点で10,000円の含み損です。
実際のFXではスプレッドもありますので、含み損はもっと大きくなるでしょう。
にもかかわらずFXトレーダーが両建てをしようとするのは、ある算段があるからなのです。
両建てをするメリットとは?
FXで両建てをするメリットは、以下の通りです。
- ・上昇トレンド・下降トレンドどちらの相場展開でも利益を出せる
- ・損失が拡大することがない
- ・含み益が減少することはない
- ・精神を安定させるツールとなる
例えば、三角保ち合いなど、今後の値動きの方向が分からないとき。
両建てをして、動いた直後に値動きの方向と逆のポジションを決済することで、損失を抑え、利益を得ることができます。
また、売買両方のポジションを持つことで両建て後の損益はプラスマイナスゼロとなります。
これにより、損失が拡大することや、急な値動きで利益が減ることもありません。
一度損益をがっちりとロックできるので、FXトレーダーの最大の敵であるストレスを軽減することができるのです。
FXで発生するデメリット
逆に、FXで両建てをすることで起こるデメリットは何でしょう?
それは、
- ・ロスカットの危険性
- ・損切りせず含み損になる危険性
- ・スプレッド2倍になる
の3つです。
FXで両建てをするということは、買った分だけ同時に売る、つまり2倍のポジションを持つことになります。
FX業者によっては証拠金がいらない場合もありますが、大抵は2倍の証拠金が必要になります。
同様に、2倍のポジションを持つことでスプレッドもその分増え、取引コストが増えてしまいます。
なぜ両建てはFX初心者には難しいのか?
注意さえすれば、両建てなんて誰でも出来そう…なんて思いませんでしたか?
しかし、両建てはFX初心者には向かない高度なトレード方法です。
なぜなら、売買すべてのポジションとポートフォリオ全体のバランスを見なくはいけないからです。
両建ては、機関投資家や専業でFXをしているプロのトレーダーが良く行う手法です。
彼らは、トレード一つひとつのリスク・リターンを計算したうえで、意図されていないように見えるポジションを組み立てているのです。
つまり、やみくもに両建てをしても意味がないということです。
このリスク・リターンの計算や、全く違う方向・違う価格のポジションを管理するのは、FX初心者には至難の業でしょう。
FXでのトレード手法
さて、それでは両建てをFXで活用する方法について見ていきましょう。
散々FX初心者には向いていないと脅してきましたが、うまく使えば両建てはかなり有用です。
ここでは、
- ・指標発表時
- ・つなぎ売り
- ・スワップポイント
- ・節税
の4つの両建てを使ったFX手法を紹介していきたいと思います。
経済指標の発表時を狙え!
各国政府は、週ごとや月ごと、年ごとに様々な指標を発表しています。
その中でも主要国の指標発表時は多くのFXトレーダーが注目し、発表直後からは大きく相場が動きます。
アメリカの雇用統計がその最たる例ですね。
さて、この経済指標発表時は値動きが大きいため、うまく相場をとらえることが出来れば多くの利益を獲得できます。
そこで、両建てが役立つのです。
まず、指標発表前に両建てのポジションをとっておきます。
指標発表時間になり、仮に相場が下がったら買いポジションはすぐに損切、売りポジションをそのままキープします。
売りが買いポジションの損切幅より伸びたら、利益確定をしましょう。
これで、相場がどちらに動いても利益を得ることができます。
ただし、数秒間の間に大きく動くので、損切りが出来ないと一気に損失が出ます。
指標発表直前に損切幅分の決済逆指値注文を両方のポジションに入れておくことで、確実な損切ができるでしょう。
両建てをすることでどちらにFXの相場が動いても利益を得られる、という手法の典型例です。
つなぎ売り
これは、うねりどりとも呼ばれるFXのトレード手法です。
たとえば、長期的に相場が上昇トレンドにあるとしましょう。
しかし、そのトレンドの中にも小さな値動きの波というものは存在します。
この、短期的な波の押し目を使って売りをすることで、利益の積み上げが狙えます。
あまり両建てをしているという実感はないかもしれませんが、これも逆方向のポジションを持っているので立派な両建てです。
つなぎ売りは、長期的なトレンド方向にポジションをもっておきながら、短期的な動きで利ざやを稼ぐことを言います。
ただし、これは長期では買い、短期では売りと、時間軸も方向も違うポジションを同時に持つことになります。
FX初心者の方がバラバラなポジションを管理することは非常に難しいでしょう。
もし両建てを使ったつなぎ売りをするのであれば、短期的な取引用に口座やFX業者を変えてトレードをしてみるとよいでしょう。
スワップポイント
続いて、スワップポイントを利用した両建てトレードです。
スワップポイントは、国と国の金利差を利用して得られるもので、FX特有の利益ともいえます。
両建て×スワップポイントでの稼ぎ方は、以下の通りです。
1.スワップポイントの違う2つのFX業者を使って両建てポジションをとる。
2.買いのスワップポジションが大きいFX業者で買い、売りがスワップポジションが小さいFX業者で売る。
同じ通貨を違うスワップポイントのFX業者で両建てすることで、差額で利益を得ることができます。
節税にも使える!
なんと、FXで両建てを行うことで、節税にもなるのです!
年末に、ポンドユーロのような、大きく動きそうな通貨ペアで両建てポジションをとりましょう。
しばらく放っておくと、どちらかのポジションはマイナスとなります。
12月31日が終わる直前にマイナスポジションを決済します。
そして、1月1日にすぐプラスポジションを決済します。
こうすることで、損益的にはプラスマイナスが(ほぼ)ゼロですが、大きなマイナスを出して年を明けたことになります。
すると、前年に抱いていた利益を削ることができるので、納税額が減るのです。
これは、FXの収益が事業所得となる個人事業主や法人など、累進課税制度の対象となるFXトレーダーには特におすすめです。
これを毎年繰り返すことで納税額は少なく済みます。
もちろん払うべきを翌年に繰り越しているだけですが、もし本当に大きな損失を出した年があれば、そこで帳消しもされます。
FXで両建てをするときの注意点
最後に、もしFXで両建てを利用してトレードをする、というときに気を付けておいてほしいことをご紹介します。
強制ロスカット
両建ては、ポジションを2倍持つことになります。
含み益となっていてもポジション自体が大きく証拠金が足りないとなれば、ロスカットをかけられ、結局損となる場合もあります。
両建てをするときは、大きなレバレッジやロット数で取引をするのは避けましょう。
スワップ変動
これは先ほど紹介した、スワップを使ったトレードに関する注意です。
スワップは各国の金利差を利用したもの。
つまり、金利が変われば損になることもあります。
金利は各国の金融政策によって決まるので、あまり頻繁に大きな変化があることはありません。
しかし、スワップ目当てで両建てをしている通貨の発行国の金利政策には注意を払うようにしましょう。
両建て禁止の可能性もあり!
大抵のFX業者では、両建ては非推奨であるだけで禁止はされていません。
しかし、一部のFX業者では両建て禁止となっている場合もあります。
また、同一口座内なら許されても、ほかのFX業者を使っての両建ては禁止、というところもあります。
両建てでFXトレードをする前に、利用規約を確認しましょう。
最悪の場合口座の凍結にもつながります。
まとめ
FXにおける両建てについて、理解していただけたでしょうか?
両建ては、使い方次第で利益も損失も生み出す両刃の剣です。
しかし、その危険性を知ったうえで使えば利益を生み出す可能性がぐっと上がります。
そのためには、損切りをしっかりすることや、少しでもリスクを回避するためにレバレッジをかけすぎないことなどが必須。
そうすれば、FX初心者でも両建てを使いこなすことができるでしょう。
ぜひ、両建てを上手にFXで活用してください!