専業トレーダーになるためには
専業トレーダーとは、仕事をせずにFXなどのトレードを専業で行い、収入を得る人を指します。
専用トレーダーになれば好きな時に休んで好きな時に働いて、会社に勤めず、上司同僚部下に気をつかうこともなく、リゾート地でバカンスがてらパソコンひとつで大金を稼ぐ・・・
その結果、結婚しても家で専業トレーダー、タワマンのオフィスで専業トレーダー、ブログや運動をしながら専業トレーダー、好きなだけ睡眠もとれる専業トレーダーとして生きていく・・・
わずらわしい人間関係もなければ、自分のペースで努力し、土日は家族や友達と楽しい時間を過ごすことができる・・・
こんな生活が現実にあれば、最高ですよね。
でも、いったいどうやったら専業トレーダーになることができるのでしょう?誰でも専業トレーダーになることはできるのでしょうか?
実は、この専業トレーダーという夢のような生活はまるで不可能というわけではないのです。しかし、当然ながらしっかりしたトレードの知識と、時間をかけてじっくりと資金を運用し、資産を増やしていく必要があります。
このページでは、専業トレーダー1日の生活や、専業トレーダーになるために必要なものや資金などについて紹介します。
専業トレーダーの1日の生活
専業トレーダーの生活は様々です。専用トレーダーにも種類があり、FXの専業トレーダーなのか株の専業トレーダーなのか、扱う通貨や銘柄、トレード手法によってもそのスタイルは変わってきます。取引内容によっては生活がかなり不規則な形態になってしまうことも。例えばFXだとほとんど24時間相場が開いていますし、株式市場は平日の朝9時から午後15時までが開いている時間ですね。とはいえ、その時間ずっとモニター画面に向かい合っている必要はありません。
専業トレーダーは基本的に「ながら」取引をすることが可能なんです。食事しながら、音楽を聴きながら、移動しながら、こういった具合ですね。したがって、一日に限らず、年間のスケジュールの組み方はかなり自由なものとなります。とはいえ、8月と12月は世界的にバケーションに入る人が多く、相場の動きが鈍くなることから専業トレーダーが休む季節とも言われています。
それでは、あるFX専業トレーダーの一日をモデルケースとして見てみましょう。
時間 | スケジュール | FX相場 |
10時~12時 | 起床 | |
12時~15時 | ニュースや相場チェック 戦略の見通しや整理 |
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15時~19時 | トレード | 活発 ロンドン市場 |
19時~21時 | 食事・休憩 | 鎮静 ロンドン市場 |
21時~1時 | トレード | 活発 ニューヨーク市場 |
1時~3時 | 相場がひと段落したら終了。 トレード日誌記帳など |
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3時~5時 | 就寝 |
この専業トレーダーのスケジュールもあくまでベースであって、どのようなスタイルでもトレードすることができます。ただし、トレードが行われる時間だけは決まっているので、温泉につかろうが、飛行機に乗ってようが、お酒を飲んでようが、海外旅行をしていようが、すべては自己責任で利益さえ上がれば何をしても専業トレーダーにとって問題にはなりません。
では、このような自由度の高い専業トレーダーになるためには、何が必要なのでしょうか。
必要なもの 「トレードの技術と資金」
専業トレーダーになるために必要なもの
- トレードの技術
- 元手となる資金
このたった二つなのですが、一体どれくらいのトレード技術と資金があればいいのでしょうか?
仮に、専業トレーダーとして生きていくのに必要なお金を月に50万円とすると・・・
一例ですが
- 月間「2%」の利益を出せるトレードの技術
- 「2500万円」の元手となる資金
があれば、2500万円×月間2%(0.02)で月収50万円を得ることができます。
上記の場合は利益2%で計算していますが、もし月間10%の利益を生み出せる専業トレーダーなら500万円で元手は済むわけです。
このように、トレーダーの技術如何で必要となる資金は変わってきます。
自分のトレード技術はどれくらい?
ではここでトレードのスキルレベルを測るのによい例を見ていきましょう。
ここに、月に100万円稼げる専業トレーダーA男さんと、月に20万円しか稼げない専業トレーダーB子さんがいます。どちらのトレード技術が優れているでしょうか。
このケースの場合、同じ元手なら多く稼げる方(この場合はA男さん)が優れた専業トレーダーだと言えます。しかし、10億の元手で0.1%の100万円を稼ぐことより、元手が100万円で20%となる20万円を稼ぐ方がよっぽど難しいのです。なぜなら、A男さんの元手が10億円だったとして、月に0.1%(=100万円)ではなく20%を稼げるなら、月に2億円を稼ぐ計算になるからですね。
このように、自分のトレード技術は元手の何%を稼げるかで計ることができます。
しかしながら、1~2か月の成績では運の要素が強く反映されがちのため、トレードの世界では2~3年程度の成績を持って信頼できる実績とすることが多いです。あくまで目安として捉えると良いでしょう。
仕事(会社)をやめるまでは気長に
それでは、月に何%の利益をあげることができれば一人前の専業トレーダーと言えるのでしょうか?
一般的には、月間1~2%も稼げれば非常に優秀な専業トレーダーということができます。ちなみに月間2%の利益をあげていれば、3年で元手はおよそ2倍になります。少しハードルは高いですが、トレードをはじめてきっちり3年間で、元手が1.5~2倍になっていれば一人前の専業トレーダーと言っても良いでしょう。
過去に7年間で元手280万円を185億円にしたB・N・Fという伝説の専業トレーダーがいますが、彼の成績は平均で月間11%の利益をあげるというものでした。つまり月間11%稼げば、7年で300万円を200億円にできるということですね。ただしこれは例外中の例外。なかなかこれほどの利益を上げることは常人にはできないのが現実なのです。
専業トレーダーになるための安全ルート
専業トレーダーになるために必要なものがトレードの技術と資金なら、この2つがないと専業トレーダーになるのは難しいということが言えます。
トレードの元手をトレードで増やしたいのなら、稼いだ利益を使っていては元手が一向に貯まりません。例えば先に挙げたB・N・Fさんの例でいうと、元手280万円の11%はおよそ30万円です。これを使ってしまっては7年で185億円という資金にはなりません。
お金を効率的に増やすには、トレードで元手を増やし、さらに別の収入源で得たお金から資金を足して元手を増やすというのが最も効率的な方法です。
やはり専業トレーダーになるまでは別途収入は必要で、他の収入なしでトレード資金を増やすのとは比べ物にならないほど楽です。
となると、いきなり専業トレーダーとしてではなく働きながらトレーダーとしての技術と必要な資金を獲得していくというのが最も安全なルートだと言えます。
トレードがうまくなれば自然とお金は貯まっていく
3年で資金が2倍になるということは、10年で資金はおよそ10倍になるということ。250万円からはじめて、きっちり月に2%ずつ増やすことができたら、10年後には2500万円になっているという計算になります。
こうなると、2500万円×2%で月間50万円の収入を得ることができますね。
このように、トレードがうまくなるほど自然にお金は貯まっていくはず。はじめて1年や2年で急に大金が儲かるものではありませんので、焦らずお金を運用していきましょう。
それが専業トレーダーとして生きていくための方法です。
会社をやめたら、必要な月収はいくら?
先ほどから、「月収50万円、月収50万円」と当然のように繰り返していますが、もしかしたら専業トレーダーとしての収入をそんなに多くは望んでないのだけど・・・と思う人もいるかも知れませんね。
そこで、サラリーマンの平均月収から考えてみることにしましょう。日本のサラリーマンの年収は平均441万円(2019年の国税庁による民間給与実態調査による)。月収でいうと約37万円(年金や保険料で手取りは29万円)ですね。
専業トレーダーには有給も退職金もない
ですからまずはこの37万円を目標にしたいところですが、専業トレーダーには有給もなければ病気になったときに仕事を代わってくれる仲間も、仕事を辞めるときの退職金もありません。おまけに社会的な後ろ盾もなく、社会的信用が得られにくく、再就職が難しい面もあげられます。
トレード収入を「月収で50万」という目標を立てたところで、月の取引の成果によって50万円を大きく超えることもあれば、一方で50万円を下回ることもあるでしょうし、収入の不安定さは尽きない問題です。
また専業トレーダーは、この月収50万円の中から税金や年金、保険料などを支払います。その結果、住んでいる自治体にもよりますが手取りは30万~35万円程度になります。また、企業のように勤続年数によって給与が考慮されるものでもありませんので、これらの面を考えると、専業トレーダーの月収50万円というのは、決して生活に余裕ができるような額ではないと言えるでしょう。
トレードで稼げることはすごいこと
「専業トレーダーとして生きていくのは大変だな・・・」
そんな厳しい面ばかりが見えましたが、そうはいっても専業トレーダーとしてお金を増やせるという能力は生きていく上で不可欠な要素としてとても有利なものです。
当然元手が増えた分だけ収入も増えますので、利益>支出さえ守ればお金は増えていく計算になりますね。また、常に元手を貯蓄したまま、利益をあげられる点が何よりも有利な点と言えます。
専業トレーダーに退職金がなくとも、トレードをやめたときにはトレードで運用していた元手がそっくりそのまま残るというのはすごいことですね。
デメリットは法人化(会社設立)で解消
専業トレーダーとして十分な利益を上げられるようになってきたら、個人で会社を設立するのも良いでしょう。その理由として、会社を設立することで個人の専業トレーダーとしてのデメリットの多くを解消することが可能となるためです。
最も大きな面としては、企業の社長としての立場と個人の専業トレーダーとの、社会的な信用の違いでしょう。例えば銀行から融資を受けることも個人と違って可能となりますし、ローンも組みやすくなるなど、資金を運用する元手を借り入れやすくなることは、お金を増やすトレード業にとって特に大きな恩恵と言えます。
ほかには節税の面でも、あらゆる支出を経費として認められやすくなるなどのメリットも大きいです。ただし法人化するタイミングとしては、「売上1000万」「利益500万」を超え始めた段階がベストと言われているため、それを大きく下回る段階では逆に法人化しないほうがよいと言えます。
専業トレーダーという生き方
パソコンひとつで専業トレーダー。スマホ片手にぶらぶらと、どんな場所でも自由に仕事。上司同僚部下への配慮や、ノルマもなければ気苦労なし・・・
これらは確かに間違いではないのですが、常に生活を賭けてトレードを続けるというのは、精神的な負担が大きいものです。肉体的な負担は少ないとはいえ、メンタル面で問題を抱えてしまう専業トレーダーも多いと言います。
トレードスタイルにもよりますが、専業でもデイトレーダーなんかはなかなか休む暇はありません。相場によってはトイレや食事の時間も取れないこともありますし、眠気と戦うケースもあるでしょう。
失敗をすればストレスでメンタルがやられますし、日々自分のトレード方法が正しいのかどうか?お金がなくなったらどうしよう?という不安や恐怖に苛まれることも。とてつもないプレッシャーですね。
ですから、よほど優れたトレーダーでない限り、毎月安定した収入がある方が生きていくにはより効率的であるわけで、労働収入などで生活費を賄えることと、トレードの利益で生活費を賄うのにはリスクにおける大きな違いがあることを覚えておきましょう。
いつはじめるか
専業、兼業に関わらず、トレーダーとしてお金を稼ぐのには時間がかかります。お金をたくさん持っているトレーダーはみなこつこつと増やしてきた人たちなのです。
トレードでお金を運用してみれば分かりますが、運用のうまい人ほど必ずこのように思うのだそうです。
「もっと早く始めていれば、今頃もっとお金を貯められたのに・・・」
基本的にお金はギャンブルでもしない限り少しずつしか増やすことができません。トレード技術とお金は、早く始めれば始めるほど蓄積されていくもの。
「トレードについてもっと勉強したら」「今年中には」「今月こそ」と言い訳をして開始を後回しにするぐらいなら、いっそ今日からトレードしてしまった方が良いのです。
トレードには当然リスクがつきものですが、自分の投資ルールをまずは決め、そのルール内でしっかりと資金管理を行うようにすればリスクを最小限にトレードを始めることが可能となります。