移動平均線が進化!
MACDをFXで活用
明日の天気を予想するとき、1週間前と今日、どちらの雲の動きを参考にしますか?
答えは、「今日」ではありませんか?
大体の人は、より新しい情報を判断材料とするでしょう。
FXでも同様です。
より最近の情報を重視して、分析する。この方法を採用した指標があります。
その名も、MACD。
移動平均線の進化版インジケーターであるMACDは、多くのFXトレーダーから人気です。
今回は、MACDについて、実際のFXでの活用法も含めて見ていきましょう。
MACDの仕組みとは?
まずは、MACDとは何か?というところから説明していきます。
MACDは、Moving Average Convergence / Divergence Trading Methodの略。
日本語に訳すと「移動平均収束拡散トレード法」で、マックディーとも呼ばれています。
ただ、こんな長い名前ではわかりにくいですよね。
簡単に言うと、短期と中長期の2本の移動平均線を使って、FX取引での売買のタイミングを判断するためのインジケーターです。
一般的なFXの移動平均線は単純移動平均(SMA)ですがMACDでは指数平滑移動平均(EMA)が使われています。
EMAを使うことで、「より新しい情報に重きをおく」ことができるのです。
MACDは
トレンドフォロー?オシレーター?
FXのインジケーターにはトレンドフォローとオシレーターの2つのタイプがありましたよね。
MACDはどちらに分類されるでしょう?
「移動平均線を使っているんだから、トレンドフォロー系じゃないの?」
と考えるかもしれません。
しかし、実際にFXのチャートでMACDを見てみると、この通り。

MACDは、FXのチャートのサブ画面に、0を基準にして表示されています。
オシレーター系のようにも見えませんか?
実は、MACDはトレンドフォローとオシレーター、どちらの要素も持ち合わせているんです。
FXでは、これはとても重宝できますよね。
だからこそ、MACDはFXトレーダーから人気があるのです。
MACDの計算方法
では、FXのチャート上に表示されるMACDはどのように計算されているのでしょう?
- MACD = 短期EMA-長期EMA
- シグナル = MACDの単純移動平均
これが、計算方法です。
2つのEMAの期間を設定し、そのEMAの差が、MACDの線または棒グラフ。
シグナルと呼ばれる線は、MACDの移動平均線と言えます。
マックディーは、このMACDとシグナルの2つの位置関係から、FXの相場を分析していきます。
おすすめの設定は?
実際にFXトレードで活用する方法をご紹介する前に、MACDのおすすめの設定を教えておきます。
パラメーターは3つあり、長期、短期、シグナルがそれぞれ平均する本数です。
最もメジャーなのは長期、短期、シグナルの順に【12,26,9】。
この数字は多くのFXトレーダーが使っており、この設定での表示をもとに売買する人が多くなるため、相場の波に乗りやすくなります。
もしこれでは売買サインが少ない!という方は、【8,17,9】の設定でもいいでしょう。
ただし、よりトレンドに近い表示になるので、売買サインが増えるとともに、ダマシも増えます。
特にこだわりがなければ、最もメジャーな設定でFXトレードに臨むことをおすすめします。
FXでの取引手法は?
見方を覚えよう!
それでは、実際のFXトレードでMACDをどう使うかを見ていきましょう。
MACDでは、注目するべき点が3つあります。
- ・ゴールデンクロス/デッドクロス
- ・水平ラインクロス
- ・レンジ相場
これらを1つずつ、ご紹介します。
ゴールデンクロス/デッドクロス
FXでゴールデンクロス/デッドクロスというと、まずは移動平均線が出てくるでしょう。
しかし、MACDでもこれらのクロスは存在します。
- ・ゴールデンクロス:
MACDがシグナルを上抜け。買いサイン - ・デッドクロス:
MACDがシグナルを下抜け。売りサイン
移動平均線同様、簡単なサインですよね。
FXにおいて、ゴールデンクロス、デッドクロスでより確実に利益を上げるためには、次の3点に注意しましょう。
1つ目は、クロスの角度です。
もしMACDとシグナルのクロスの角度が浅ければ、それはダマシや、トレンドとはならない弱いサインです。
角度が深ければ深いほど、信頼性が高いサインと言えます。
2つ目は、ゼロラインとの位置関係です。
ゼロラインより上でのゴールデンクロス、もしくはゼロラインより下でデッドクロスが起きていれば、それは確実なサインと言えます。
3つ目は、MACD以外のシグナルと同時に起こったかどうかです。
多くのFXトレーダーの皆さんは、MACD以外の方法も使ってチャート分析をしているでしょう。
トレンドラインでも、インジケーターでも構いません。
MACD以外のシグナルと同時に起これば、わかりやすいサインとなります。
もしこれら3つのどれにも該当しない場合、それは悪いクロスと言えます。
損失につながる可能性もあるので、そこで取引をするのは避けましょう。
レンジ相場には注意!
MACDはトレンドフォロー系であるがゆえに、保ち合いとなっているFXの相場では小さなクロスが頻発します。
実際のFXのチャートを見てみましょう。
これは、ドル円のレンジ相場です。
ご覧の通り、MACDはゼロライン近辺で何度もクロスを繰り返しています。
これに「クロスした!」と言っていちいちエントリーはできませんよね。
レンジ相場では、MACDはオシレーター系としての役割を重視しましょう。
MACDは、上昇トレンドならゼロラインより上、下落トレンドなら下にその棒グラフが現れます。
また、MACDの山(谷)が大きくなっていればいるほどそのトレンドは強いと考えられます。
MACDがゼロラインから離れ始めたら、トレンドができてきているサイン。
レンジを抜けだし、相場がトレンドを作り始めるタイミングを、見逃さないようにしましょう。
ダイバージェンスに注目しよう
少しステップアップしたMACDのFXトレード手法に、ダイバージェンスを利用したものがあります。
ダイバージェンスは、テクニカル分析の中で観察される特徴です。
RSIが有名ですが、名前に入っている通り、MACDでも現れます。
ダイバージェンスとは?
ダイバージェンス(Divergence)は、「拡散」「相違」「乖離」という意味です。
その名前通り、インジケーターと、FXのチャートの動きの「相違」を表すもの。
基本的なケースは、次の2つ。
- ・チャートは高値切り上げなのに、指標は切り下げ、もしくは横ばい
- ・チャートは安値切り下げなのに、指標は切り上げ、もしくは横ばい
ダイバージェンスは、トレンド転換の前兆と言われています。
発生したら絶対に変わるわけではありませんが、トレンドが転換しやすくなるのです。
また、トレンド「転換」の兆しなので、トレンドが出来ている相場のみ有効です。
MACDでのダイバージェンス
先ほどFXのダイバージェンスの基本ケースに、MACDを当てはめるだけです。
- ・チャートで高値切り上げ、MACDは切り下げ・横這い
- ・チャートで安値切り下げ、MACDは切り上げ・横這い
実際のFXチャートで確認してみましょう。

このように、一見したFX相場の動きとは違う動きをしているのがわかりますよね。
これが、ダイバージェンスです。
FXの場合、一度ダイバージェンスが起きてもその後すぐにトレンド転換をしない可能性が高いです。
しかし、2度目のダイバージェンスが起きたら確実です。
利益よりもリスクを重視したい!というFXトレーダーの方は、ダイバージェンスは2度目から信用しましょう。
FXでは逆ダイバージェンス(リバーサル)というものもありますが、今回は割愛します。
チャート分析に便利!
マックディを活用しよう
MACDについて、理解は深まったでしょうか。
ここまでの内容について、まとめておきます。
- ・トレンド相場ならトレンドフォロー、
レンジならオシレーターとして使う - ・MACDとシグナルのクロスが目印
- ・クロスの角度や水平線との距離が重要
- ・ダイバージェンスも活用する
「MACDは使い物にならない」という批評もたまにありますが、実際に利益を上げているFXトレーダーはごまんといます。
トレンドフォロー系としてもオシレーター系としても使えるMACDは、FXのチャートのテクニカル分析には最適です。
人気のインジケーターは目安にしている人が多く、FXの相場を掴みやすくなります。
実際に売買ポイントの目安になることは間違いありません。
ぜひ、MACDをあなたのFXトレードに役立ててください。